デザイナーが解説!店舗内装に欠かせない素材選び|クロス・塗装・塗壁の基礎知識
みなさんこんにちは、サイファーの溝渕です。今回は、空間デザイナーである私が住宅の店舗開業・出店をお考えの皆様へ向けて、あくまで私的な意見や考えも交えて、実務の観点から内装材のご紹介をしたいと思います。
内装材は、メンテナンスや管理、店舗イメージに大きく関わってきます。デザインだけではなく、機能性やコスト感などの費用対効果を踏まえた解説をして参りますので、これから開業やリニューアルなどで、店舗デザインに向き合う方は、ぜひ、最後までご覧ください。
また、価格のお話しが出てきますが、弊社が拠点としている東海地方での目安の金額となりますので、ご了承ください。
壁紙(クロス)
まず、ご紹介するのは、みなさんもご存知で今、世の中に一番出回っているであろう仕上げ材、壁紙(クロス)です。一言、壁紙といっても、ビニルクロス、紙クロス、織物クロスなど色々あり、サンゲツさんのクロスランクも平米単価で何万円もする高級なものから安価なものまで数多くの色や柄の種類があり、取り扱うメーカーも多いのが特徴です。高級なものだとこういった紙クロスのものもあります。
一般的な壁紙の話としては、サンゲツさんでいうS PクロスやAAクロスを示す場合が多いです。
お施主様の立場で考えると仕上げ材でクロスを選ぶ場合は、叶えたいイメージをデザイナーやコーディネーターに伝え、カットサンプルを準備してもらい、自分の目で素材の色味や質感を確認することが大切です。
壁紙ですと安価に様々な表現を空間内で行うことが可能なため、多くの選択肢が生まれると思います。ただし、クロスは表面にどんな加工がされていてもやはり擦り傷や引っ掻き傷には弱いものが多いので、人の手がよく触れそうな箇所には、別の素材を考えながらコーディネートの必要性があるかと思います。
また、もう一つのポイントとして、大きく分けて不燃・準不燃とクロスの種類がありますので、法的な適合の有無の確認も大切です。クロスはメンテナンスとしての貼り替えの目安は、5〜10年サイクルで必要であると言われています。AA級クロスですと施工業者の価格で材料の標準平米単価で1090円前後の価格設定が多いと思います。
塗装仕上げ
続いては、壁紙の次に多い、塗装仕上です。塗装の種類も現在は様々にあるため、種類については割愛いたしますが、意匠としてのポイントは、色と艶です。
色の種類は無数にあるため、デザイナーとお客様との相違が起こらないようにするため必ず色品番やカラーコードと言われるようなものでお話しをします。
これらは、各種塗料メーカーが出している色見本や日本塗料工業会、通称日塗工の見本帳を使って、色の選択を行います。ただし、微妙な色彩の色ですと、塗料メーカーによって色の差が出る場合もありますので、必ず施工会社からサンプルをもらい、確認するようにしましょう。塗板のサンプルを作っていただけますので、イメージが違ったということにならないように気をつけたいところです。
次にツヤについてですが、大きく分けて、艶あり、7分つや、5分つや、3分つや、艶消しとあります。
現在は3分艶を選択するデザイナーが多い印象ですが、世界観を表現するために艶消しを使用したりすることもあります。ただし、艶消しは他の塗装よりも汚れが目立ちやすいので、選定には十分な検討を行った上で実施するようにしましょう。
また、艶は経年と共に落ちていきますので、厨房内などメンテナンスがかかる場所は、7分艶の塗装を選定されても良いと思います。サイファーでも客席の塗装仕上は、3分つやで厨房内は7分艶で計画することが多いです。
塗装は、壁が多少傷ついたり、凹んだりしても、パテと呼ばれる接合材で埋めて平滑にして、塗ると比較的目立ちにくくなります。竣工引渡しの際に工事の際に使用した塗料を少し分けてもらい、手元に持っておくと色が一致した補修もD I Yで可能な場合もありますので、施工会社さんに相談してみると良いと思います。
使用する塗料の種類やメーカー、現場状況によっても変わりますが、AEP塗装と呼ばれるものですと材工平米単価で1650円〜2200円前後で設定されている会社さんが多い印象です。
塗壁
今回の最後にご紹介するのは、塗壁です。塗壁も伝統的な手法である漆喰や土壁など様々なものがありますが、外装、内装問わず一般的に多く使用されているのは、様々な樹脂や骨材を利用して多くのパターンを作ることのできる意匠性塗材を選定されることが多いと思います。
メーカーとしては、アイカさんのジョリパットやエスケー化研さんのベルアートあたりが良く聞かれると思います。彩度、明度などの色のトーンだけでなく、様々な模様、柄のパターンを選択することができるため、幅広い表現方法が可能です。
こちらも塗板のサンプルをメーカーに問い合わせをすると取り寄せることができます。イメージするデザインパターンが決まりましたら、デザイナーや施工業者にサンプルの依頼をかけましょう。
メンテナンスも拭き掃除や中性洗剤での拭き取りが中心のため、日々の掃除でメンテナンスが可能なため、管理も行いやすいのが特徴です。
デメリットとしては、工程が多くなりますので、工期がかかることと、やはり塗壁ですので単価が高くなるところです。パターンやジョリパットの種類によりますが、アイカさんの設計価格によると300㎡基準で、4000円強〜の価格設定です。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は店舗開業・出店をお考えの皆様へ向けて、実務の観点から内装材のご紹介をいたしました。
私たちサイファーは商空間のデザインや住居のデザイン、内装インテリアデザインを手掛けています。サイファーでは、お客様とのコミュニケーションを大切にし、背景や想いを反映したお店づくりをすることで、他店との差別化を図ります。
また、開業後の資金繰りを圧迫しないように、ご予算を伺い、予算と希望を両立させるバランスの取れた最適なデザイン計画を提案いたします。
これから店舗開業、リニューアルに望まれる方は、ぜひお気軽にご相談ください。それでは、ありがとうございました。