用途変更とは?開業を目指すオーナー必見!手続きの流れをわかりやすく解説

皆さまこんにちは。株式会社ウラシコのデザイン設計施工事業部サイファーの溝渕です。今回は、店舗やオフィス事務所を開業するときに注意したい「用途変更」について解説します。

用途変更は、かなり実務的なことで、店舗デザインや施工の会社でも知らないところもありますが、法律で定められている非常に重要なことです。これから開業を目指される方や、テナントを貸し出すオーナー様はぜひ抑えておきましょう。

(※2024年9月時点での法律に基づいております)

用途変更とは

用途変更とは

まず、用途変更とは、既存の建物の本来の用途を異なる用途に変更する手続きを指します。この手続きは、建築基準法や都市計画法で義務が定められています。この2つの法の違いは後ほど詳しく解説します。

例えば、住居を飲食店や旅館に変更する場合や、工場を物販店舗に変更する場合などが該当します。この用途変更の手続きには、単に書類を提出するだけでなく、自治体、消防、保健所などへの確認手続きや、新しい用途に対応するための工事も含まれます。

用途変更の目的

用途変更の目的

用途変更の手続きが必要な理由は安全基準の遵守です。建物はその用途によって安全基準が異なります。変更後の用途に適した安全基準や法令を遵守する必要があるため、用途変更の際には自治体や消防などの確認手続きが必要なのです。

例えば、建物を「事務所」として使用する場合と「飲食店」として使用する場合では、求められる避難経路の設計や採光、換気などの環境性能が異なります。このように、それぞれの用途に合わせた適切な安全対策や環境対策が必要となります。

用途変更を行わなかった場合

用途変更を行わなかった場合の罰則

用途変更を行わなかった場合や、基準をクリアしなかった場合、「違法建築物」として処罰される可能性があります。違反建築物とは、建築基準法や都市計画法などに違反している建築物を指します。建築後に増改築や用途変更を行った結果、違法となる場合もあるため注意が必要です。

混同注意!2つの異なる用途変更

2つの異なる用途変更

ここで一旦整理しておきたいことが、用途変更には、建築基準法と土地計画法の2つの法令で定められていることです。混同しないように注意しましょう。

都市計画法

まずは、都市計画法における用途変更についてです。都市計画方では、「開発許可制度」に対しての用途変更が定められています。開発許可制度は、土地の開発を許可制にして市街地の環境保全、災害防止、利用推進を図るために設けられた制度です。

これにより、原則として、開発許可を受けた許可内容の予定建築物等以外の建築物を新築することができなくなっています。具体例としては、自宅用として許可されている土地に、店舗を立てる場合は、用途変更を行って、店舗用の土地であることを許可してもらわなければならないのです。

建築基準法

もう一つが建築基準法における用途変更です。 建物には、都市計画法とは別に、建築基準法上の「用途」が定められています。もし定められた用途以外の目的で建物を使用する場合、建築基準法に基づく「用途変更」の手続きが必要です。

この際、工事着工前に建築確認申請が必要です。申請後に建築確認済証が交付され、完成後の検査済証が交付されるとようやく、「用途変更」が完了した形になります

建築基準法の確認申請

建築基準法の用途変更が必要な条件は以下になります。

①用途変更したい床面積の合計が200㎡を超える場合

1つ目が、用途を変更する床面積の合計が200㎡を超える場合です。 2019年までは、「100㎡を超える場合」に定められていましたので、規制が緩和された形になります。

つまり、例えば住宅から店舗などに変更する場合でも、床面積の合計が200㎡以下であれば手続きは必要ないことになります。 ただし、建築基準法の用途変更が必要ないだけで、都市計画法の用途変更は必要であることに注意しましょう。また、用途変更以外で定められている消防法などは遵守する必要があります。

②特殊建築物へ用途を変更する場合(ただし、類似の用途への変更は除く)

2つ目の条件が、特殊建築物へ用途を変更する場合です。 殊建築物とは、ざっくりいうと住宅、事務所以外の店舗、病院、ホテル等とおぼえておくとわかりやすいと思います。

つまり、住宅から店舗へ建物を変更する場合は、先程の200㎡の条件を超える場合、用途変更が必要ということです。 逆に、住宅から事務所を建てる場合は用途変更が必要ありません。

これを利用して、逆に、建築基準法の用途変更が必要ない物件を選ぶ、ということが可能になりますので、よく抑えておきましょう。

類似用途

また、類似用途についても説明します。 類似用途の建物に変更する場合も用途変更は不要になります。法律で定められた類似用途は、全部で11種類です。 たとえば、映画館を演芸場にする場合や、カフェをバーに変更する場合は、類似用途への変更なので手続き不要です。

1.劇場、映画館、演芸場

2.公会堂、集会場

3.診療所(※)、児童福祉施設等

4ホテル、旅館

5.下宿、寄宿舎

6.博物館、美術館、図書館

7.体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ習場、バッティング練習場

8.百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗

9.キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー

10.待合、料理店

11.映画スタジオ、テレビスタジオ

用途変更の流れ

用途変更の流れ

今回は、建築基準法の用途変更の流れについて、簡単に説明させていただきます。実際の流れは案件や自治体の法令などによってもことなりますのであくまで基本の流れとしてお控えください。用途変更は、資料の確認、申請書・図面の作成、完了審査の流れで行います。

資料の確認

資料には、新築時に発行される確認済証、検査済証、消防適合証明書などが含まれ、揃っていない場合は再取得が必要です。

申請書・図面の作成

次に、行政機関や検査機関に提出するための申請書・図面の作成を建築士事務所に依頼します。また、必要に応じて是正工事を行うこともあります。

完了審査

確認済証が発行された後は、完了工事届を提出する必要があるので注意しましょう。

最後に

用途変更の相談

いかがでしたでしょうか。今回は「用途変更」に関して、解説して参りました。用途変更は、店舗開業時や物件貸出の際に必ず抑えて起きたい重要な手続きです。ある程度時間がかかる作業になりますので、時間に余裕を持って専門家に依頼し、手続きを進めていきましょう。

また、物件選びがまだの方は、用途変更が必要ない物件を選ぶことも選択肢としてもっておきましょう。私達サイファーは、このような法令手続きを絡めた店舗開業サポートにも強みがあります。物件選びの段階からサポート可能ですので、ぜひ、お気軽にご相談ください。