店舗テナントの敷金・礼金・保証金・前家賃とは?それぞれの違いをわかりやすく解説します
店舗やオフィスなどの店舗テナントを借りる際、様々な費用が発生します。中でも特に重要なのが、敷金・礼金・保証金・前家賃です。
これらの費用は、契約時に大きな出費となるだけでなく、店舗テナントを解約する際にも影響を与えるため、どんな費用なのか理解しておく必要があります。
これらの費用についてわかりやすく解説し、その違いや相場、節約方法についても詳しくまとめました。
店舗テナントの敷金・礼金・保証金・前家賃の違い
店舗テナントを契約する際、初期費用として発生するものは主に4つあります。
費用 | 詳細 |
敷金 | 賃貸契約の担保となる費用 |
礼金 | 貸主への謝礼金 |
保証金 | 敷金と同じ役割を持つ費用 |
前家賃 | 前払いの家賃 |
それぞれの特徴と違いについて、詳しく解説していきます。
敷金とは
敷金は、賃貸借契約の担保として借主が貸主に預ける金額です。店舗テナントの契約を終了する際、借主が契約条件を守らなかった場合や、物件に損害を与えた場合の保証金として機能します。
契約終了時に問題がなければ、全額または敷金の一部が返還されます。ただし、原状回復費用や未払い家賃が発生した場合は、それらの費用に充当されるため、物件の使用方法や契約内容には注意が必要です。
礼金とは
礼金は、借主が貸主に支払う謝礼金です。「権利金」や「お礼金」とも呼ばれ、物件を貸してもらうことへの感謝の意味を込めて支払われます。
礼金は必ずしも発生する費用ではありません。物件や地方によって礼金の有無や金額が異なるため、店舗テナントを契約する前に金額を確認しておくのがおすすめです。
保証金とは
保証金は、敷金に似た役割を持つ費用ですが、異なる点もいくつかあります。
・契約終了時に一定割合が返還される場合が多い
・敷金よりも高額になることが多い
・使用目的や返金条件が敷金とは異なる
保証金は、敷金と同様に契約の担保としての役割を果たしますが、より高額で、返還条件も異なる場合があります。保証金が発生することで、初期費用が高額になるため契約する際は注意が必要です。
前家賃とは
前家賃とは、文字通り「前払いの家賃」であり、契約時に支払う、契約開始月や翌月の家賃のことをいいます。通常、契約開始月と翌月分の2ヶ月分を支払うことが多いですが、入居日によっては日割り計算になる場合もあります。
店舗テナントの敷金・礼金・保証金・前家賃の費用相場
店舗テナントの初期費用である敷金、礼金、保証金、前家賃の一般的な相場は以下の通りです。
費用 | 相場 |
敷金 | 賃料の10〜12ヶ月分 |
礼金 | 賃料の1〜3ヶ月分 |
保証金 | 賃料の10〜12ヶ月分 |
前家賃 | 2ヶ月分
※入居日によっては日割り計算あり |
ただし、これらの金額は立地や物件の新しさ、業種、地域などによっても大きく変動します。例えば、繁華街の一等地にある新築物件では、敷金や保証金が賃料の24ヶ月分以上になることもあります。
一方で、長期間空室が続いている物件や、需要の少ない立地の物件では、敷金や保証金が相場よりも低く設定されていることもあります。実際の費用は物件ごとに異なるため、詳細は必ず不動産会社やテナントのオーナーに確認しましょう。
店舗の敷金・礼金・保証金・前家賃を安くする方法
店舗の設備を整えたり、宣伝をしたりと開業するにはさまざまな場面で費用がかかります。金銭的負担を減らすためにも、店舗テナントの初期費用を抑えたいですよね。
店舗テナントの初期費用を安くするためには、以下のような方法を検討してみましょう。
敷金・礼金・保証金のない物件を選ぶ
敷金、礼金、保証金のない物件を選ぶことで、初期費用を大きく抑えることができます。ただし、店舗テナントの場合、完全にこれらの費用がない物件は非常に珍しいです。
その理由としては以下の2つが考えられます。
1.店舗は不特定多数の人が利用するため、物件が破損するリスクが高い
2.店舗改装やリフォームにより、退去時に大規模な原状回復工事が必要になることが多い
したがって、店舗テナントを探す際は、礼金のない物件を中心に探すのがおすすめです。
費用の交渉をする
店舗テナントでは、初期費用や賃料の交渉が可能な場合があります。
交渉を成功させるためのポイントは以下の通りです。
1.物件の空室期間や周辺相場を事前に調査する
2.長期契約を提案する
3.自己資金や事業計画をしっかり提示し、信頼性をアピールする
4.内装工事を自己負担で行うことを提案する
ただし、交渉が可能かどうかは物件や貸主によって異なるため、まずは不動産会社に相談をしてみましょう。
長期間空いているテナントを選ぶ
空室期間が長い物件は、オーナーが早期の入居を希望している可能性が高いため、費用交渉の余地が大きくなります。
ただし、長期間空室になっている理由(立地の悪さ、設備の古さなど)もしっかり確認し、事業に適しているか慎重に判断しましょう。
店舗テナントの費用に関するよくある質問
敷金や保証金はいつ返却される?
敷金や保証金は、通常以下のようなプロセスで返却されます。
1.物件の契約終了後、物件の確認と原状回復工事を行う
2.原状回復工事にかかった費用や未払い賃料などを精算する
3.残額を借主に返却する
この一連の流れにかかる期間は物件によって異なりますが、一般的には契約終了後3ヶ月以内に返却されることが多いです。ただし、大規模な原状回復工事が必要な場合などは、さらに時間がかかることもあります。
返却の時期や条件については、必ず契約書で確認しておきましょう。また、期日を過ぎても返却されない場合は、早めに貸主や管理会社に問い合わせをするのが重要です。
店舗テナントの敷金はいくら返ってくる?
敷金の返還額は、以下の要素によって変動します。
1.原状回復費用の金額
2.未払い賃料や未払い光熱費の有無
3.契約書に記載された敷金の償却条件
敷金の返還額に一律の基準は無く、全額返還されるケースもあれば、ほとんど返還されないケースもあります。理由なく返還されないといったトラブルに発展させないためにも、契約時に以下の点を確認しておきましょう。
・原状回復の範囲と費用負担の詳細
・敷金や保証金が使用される具体的な条件
・返還時期
また、退去時のトラブルを避けるためにも、入居時と退去時の物件の状態を写真で記録しておくのがおすすめです。
契約期間中に家賃が上がることはある?
賃貸借契約で家賃が定められているため、契約期間中に家賃が上がることは基本的にありません。ただし、以下のようなケースでは家賃が変更される可能性があるため、注意が必要です。
契約更新時
物件の契約更新を行う際、物価の上昇や周辺相場の変化を理由に家賃の増額を提案されることがあります。
特約がある場合
契約書に「○年後に家賃を見直す」などの特約がある場合は、契約期間中でも家賃が変更される可能性があります。契約時には更新の条件や特約の有無をしっかり確認し、将来の家賃上昇の可能性も考慮しておくことが重要です。
また、更新時に家賃の増額を提案された場合は、周辺相場や物件の状態を踏まえて交渉することも可能です。
まとめ
店舗テナントの敷金・礼金・保証金・前家賃は、事業を始める際の大きな初期費用となります。それぞれの費用の特徴や相場を理解し、適切な物件選びや交渉を行うことで、初期費用を抑えられます。
ただし、単に費用が安いだけでなく、事業に適した立地や設備であることも重要です。店舗テナント選びは事業が成功するかを左右する重要な要素です。必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら、慎重に検討を進めていきましょう。もちろん私たちサイファーにもお気軽にご相談ください。
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