デザイナーが選んだ秀逸な椅子のデザイン5選|コンセプトやデザインに魅了された椅子5脚をご紹介します

皆さんこんにちは。サイファーの溝渕です。

今回は、空間デザイナーである私が、個人の趣味嗜好で選んだコンセプトやデザインが魅了された椅子5脚をご紹介します。

様々なデザイナーが必ずと言っていいほど椅子の勉強を一度はしていると思います。歴史に隠れた背景から作り手のこめた概念や美意識を知るととても興味深く魅力されます。

こちらのブログ記事ではYouTube動画の概要をご紹介しています。本編動画では、より詳しく解説していますので、ぜひ本編動画もご参照ください。

ロッキードラウンジ

画像出典:https://high-brands.com/interior-product.php?id=17

発表年:1986年
デザイナー:マークニューソン
販売:IDEE

一番最初にご紹介する椅子は、オーストラリア出身のプロダクトデザイナー マークニューソンの出世作であるロッキードラウンジです。IDEEで販売されていました。

マークニューソンはかつて、auから販売された携帯talbyが話題になり、日本でもデザインに関わらない方たちにも知られるようになった著名な方です。

飛行機のようなフォルムでFRPを薄いアルミ板で包んだ構造となっており、1800もの隠しリベットが使われています。オーストラリアのアルミ職人によるハンドメイドで製作されています。

構造やマークニューソンの独特なデザインもさることながら、この椅子の衝撃的なところは、後の2006年サザビーのオークションで1億円で落札され、歴史上、最も高価な家具となったところです。

発表当時、マークニューソンは無名でしたが、知名度が上がるにつれて、この家具の価値も上がっていったということです。つまりこれは、家具がアートになり得ることを証明したことになるのではないでしょうか。

smoke(スモーク)

画像出典(商品ページ):https://moooi.co.jp/item/18491.html

発表年:2004年
デザイナー:マーティンバース
メーカー:moooi

2つ目の椅子のご紹介です。ドイツ生まれオランダ育ちのデザイナー、マーティンバースによるデザインです。名前はスモークシリーズ。

この椅子の特徴は、まさにコンセプチュアルな考え方が魅力的な作品です。バロック式など歴史的な背景のある椅子を炎で燃やし、樹脂コーティングをして、人々の興味を誘う椅子として使用できるように成立させています。

これは、形をデザインしているのではなく、マーティンバース自身が行なったことをデザインとして捉えることができるのではないでしょうか。

つまり、同じ椅子であったとしても行為一つで価値観が変わることを表しています。

moooiという家具ブランドで販売されています。価格は家具により異なり、おおよそ20〜120万円のようです。

slow chair

画像出典(商品ページ):https://www.vitra.com/ja-jp/product/slow-chair

発表年:2006年
デザイナー:ロナン&エルワン・ブルレック
メーカー:vitra
価格:454,300円〜

3つ目の椅子は、ロナン&エルワンブルレック兄弟がデザインしたスローチェアです。メッシュのニットテキスタイルが張られ、座と背のクッションが柔らかな座り心地の快適なラウンジチェアです。

このニットテキスタイルは、伝統的なソファの厚い生地に代わるもので、軽量でありながら編みの弾力により柔らかで包みこまれるような心地よさを生み出しています。

展示されていた商品に座ったことがありますが、一見、破れてしまいそうなくらい透けて見える背と座が程よくテンションがかかっていて、座り心地は本当に包まれているようです。

光の透け具合が美しく、エレガントな佇まいを感じさせます。

KUROTETSU BAN SOFA

画像出典(商品ページ):https://fit-shop.tetsukurite.jp/items/74747333

発表年:不明
デザイナー:杉山製作所
メーカー:杉山製作所
価格:352,000円〜

今までは、デザイナー家具で、コンセプチュアルな家具やアートよりの家具でしたが、次は私の家でも実際に使用しているおすすめのソファのご案内です。

鉄の優れた加工と溶接技術を生かした家具作りを行なっている杉山製作所のソファです。鉄だからこそできる重厚感と強度の脚を実現し、ソファ全体に浮遊感を生み出しています。

ソファの張地は、あまり家具の生地では使用されることが少ない豚革を選択することができ、経年変化を楽しみながら、愛着が湧いてくるオリジナルなヴィンテージ品に育てていくことができます。

Ply chair

販売サイト:https://shop.craftcraft.net/?pid=142639503

発表年:1998
デザイナー:ジャスパーモリソン
メーカー:vitra
価格:廃盤品

現代にミニマルデザインの原点と称されるジャスパーモリソン デザインのply chairです。

この椅子は、私もデザインの勉強していた頃から憧れの椅子であり、運良く手に入れることができました。

合板を糸鋸でくり抜き、ビスで止めたような簡潔な構造をコンセプトに持ちながら、左右から見た時のしっとりとした佇まいの美しい曲線はこの椅子に込められた経緯や美学を感じます。

見た目にはわからない座り心地も追求されており、椅子の十字の構造の上には、若干の空間があり、座るとわずかに沈む仕組みになっています。

ジャスパーモリソンの知恵や感性が詰まった美しい傑作椅子です。今は、廃盤となっているため、オークションなどでしか手に入れることができません。

最後に

いかがでしたでしょうか。私のお気に入りの椅子デザインを5つをご紹介しました。気になる椅子はありましたでしょうか。

今回紹介した椅子は、それぞれに独特の魅力とデザイン哲学があります。椅子一つにとっても、その歴史や当時の社会背景、デザイナーの考えなどを知るともっと魅力的なものになります。お気に入りの椅子を見つけたら、ぜひその椅子について調べてみてください。

私たちサイファーは商空間のデザインや住居のデザイン、内装インテリアデザインを手掛けています。

ご紹介した椅子の背景や哲学のようにサイファーでは、お客様とのコミュニケーションを大切にし、背景や想いを反映したお店づくりをすることで、他店との差別化を図ります。

オリジナルの椅子の作成も対応させていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

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