【建築用語】敷居(しきい)とは?店舗に敷居を取り入れるメリット・デメリット、日本式の建築様式における役割を解説します
日本建築において、大切な役割を果たす敷居。みなさんの自宅にも、敷居が設けられているところも多いでしょう。
敷居は、日本文化と深い関わりを持っています。では、敷居の役割とは何なのでしょう?この記事では、敷居の役割や日本文化における要素について紹介します。
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敷居とは?
敷居とは、商事やふすまなどをはめ込むために取り付けられた部材のことです。敷居は下部に設けられ、溝を滑らせて開閉します。溝の深さは3㎜ほどです。
敷居には滑りやすさが求められます。と同時に、強度も重要なポイントとなっています。敷居の素材には、松が使われることが一般的です。ほかにも、ヒノキやスギなども使われています。
敷居と日本文化の関係性
日本家屋において、敷居は切っても切れない関係です。近年では、バリアフリーの影響で敷居のない住居も増えてきました。敷居はいつ、どのようにして生まれたのでしょう。日本文化の関係性について、探っていきたいと思います。
古代では神聖な場所に設けられた敷居
古代の日本では、神聖な場所に敷居が設けられていました。これは、異なる空間に入ることで、儀式的な意味を表現しています。古代では、神社だけでなく住居にも敷居があったそうです。
美しさを追求した平安時代
平安時代に入ると、敷居は単なる仕切りではなく、美しさも求めるよう独自に変化していきました。その変化が如実に表れたのは、宮中や貴族の邸宅です。
古代では、神聖な場所との仕切りが役割でしたが、平安時代では、敷居の高さや素材にもこだわるようになります。これは、社会的な階級を表している要素とされています。
一般市民にも広まった敷居の文化
実は、一般市民の住宅に敷居が設けられるようになったのは、江戸時代になってからです。
一般市民の住宅では、家の内部と外部を明確に区切る役割を果たしていました。部屋だけでなく、入り口にも敷居が設置されています。
また、平安時代と同じように、敷居の高さや素材の違いは、家の格式や商店の品位を表わす要素となっています。
敷居の役割
敷居には、どんな役割があるのでしょう。ここからは、敷居の代表的な役割について説明していきます。
部屋の仕切り
敷居のいちばんの役割は、部屋の仕切りに使われていることです。部屋と部屋、部屋と廊下など、間仕切りの役割を果たしています。これは、物理的な境界線を作ることで、無意識に行動を変えるきっかけとなります。
プライバシーの確保
建物や部屋の入り口に設けられている敷居は、内部空間に入ることから、プライバシーの確保にも有効とされています。また、制御や防御の役割を果たしているため、不審な行動や侵入も防ぎやすいです。
店舗に敷居を取り入れるメリット・デメリット
店舗にも、敷居を取り入れたいと思う方もいるかもしれません。メリットとデメリットがあるので、それぞれの特徴を見ていきましょう。
敷居を取り入れるメリット
店舗に敷居を取り入れる大きなメリットは、店舗の入り口と店内を明確に表せられることです。お客様に対して、「ここからが店内ですよ」とアピールできます。
また、敷居を設けることで、お客様に進行方向を示せます。いくつものエリアがある場合や広い空間の店舗の場合、敷居が誘導の役目をしてくれるのでおすすめです。
敷居を取り入れるデメリット
敷居は段差があるため、お客様によっては歩きづらいと感じることもあります。特に、高齢者や身体に不自由のある方は、敷居があることで、移動を制限させられてしまいます。
ほかにも、安全性の懸念もあるでしょう。暗い環境だと、敷居も見えづらくなりますので、ケガのないよう工夫が必要です。また、近年はバリアフリーの動きが活発です。バリアフリーにも十分配慮し、敷居を設置しましょう。
まとめ
敷居は、日本文化に欠かせない部材です。もともと、神聖な場所で使われていた敷居ですが、次第に一般市民にも広がり、今に至っています。
近年では、敷居を設ける住居も少なくなりましたが、敷居は日本文化を象徴する要素です。店舗に敷居を取り入れるときは、場所と高さに十分注意しましょう。バリアフリー化が進む今、お客様の通りやすい敷居のデザインを取り入れてみてください。
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