高齢層やファミリーの層の顧客を増やす!ユニバーサルデザインやバリアフリーを達成する飲食店デザインのポイントを解説します
バリアフリーやユニバーサルデザインといった言葉が広く認識されてきています。実際に、多くの人が利用しやすい設計にすることで、店の信頼度や利便性が上がり、利用客の増加を見込むこともできます。
今回は、バリアフリーやユニバーサルデザインを取り入れる方法を紹介していきます。
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バリアフリーとユニバーサルデザインとは
バリアフリーとは
バリアフリーとは障害のある人や高齢者が生活するうえで、障壁(バリア)になるものを除去しようとする考え方です。
もともとは道路や建物内の段差などの物理的なバリアを除去するという意味でしたが、現在は物理的なバリアだけでなく、制度的、心理的、文化・情報面でのバリアなど、社会的なバリアを除去する意味で使用されています。それぞれのバリアについて簡単に説明します。
制度的バリア
障害の有無による就職や資格取得の機会の制限や幼児や盲導犬、介助犬連れのお客様の入店拒否など
心理的なバリア
高齢者や障がい者に対する偏見や無関心、バリアフリーに対する認識や知識の不足、点字ブロックの上の放置自転車や車いす用駐車スペースへの迷惑駐車など
文化・情報面でのバリア
地図などの必要な情報、欲している情報を得られないことや文化活動の機会が平等に得られないなど
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインとは、文化や言語、国籍、年齢、性別、能力などの違いにかかわらず、できるだけ多くの人が利用できる、利用しやすいことを目指したデザインのことで、建築だけでなく、製品やデザインなど多くのところに取り入れることができます。
バリアフリーとは違い、使用する対象を障がい者や高齢者に限定しておらず、バリアフリーはユニバーサルデザインの一部であると考えることもできます。
ユニバーサルデザインの7原則
ユニバーサルデザインには、以下に挙げる7つの原則があり、これを満たすようなデザインにする必要があります。ただし、一般的な飲食店でこれらすべてを満たすことは困難なこともありますので、可能な限り対応することになります。
①どんな人でも公平に使えること(公平性)
②使う上での柔軟性があること(自由度)
③使い方が簡単で自明であること(単純性)
④必要な情報がすぐに分かること(利便性)
⑤簡単なミスが危険につながらないこと(安全性)
⑥身体への過度な負担を必要としないこと(省体力)
⑦利用のための十分な大きさと空間が確保されていること(空間性)
ユニバーサルデザイン例
実際に取り入れることができそうなデザインの例を、場所別に紹介していきます。
出入口
出入り口でのポイントは、段差をなくすこと、自動ドアにすることです。小さな子どもや高齢者、車いすを利用する方々のことも考えて、出入口の段差をできるだけなくした方がよいでしょう。
また、店の扉から出入口までの道に砂利や踏み石を設置すると、転倒の原因となったり、車いすやベビーカーの通行が困難になるため避けたほうが良いでしょう。
店の扉については、自動ドアにすることで、スタッフがドアを開閉したり、お客様が自分でドアを開閉する負担がなくなり、荷物を大量に持って来店されるお客様や車いすのお客様、ベビーカーで手がふさがっているお客様など多くの人の利便性の向上につながります。
自動ドアには、近づくと自動で開くタイプや手をかざすと開くタイプなど様々ですので、ターゲットにしている客層を考慮して選びましょう。
店内
店内でのポイントは、通路の幅は広くすること、段差をなくすこと、配置を変更できる席にすることです。
店内の通路は、幅が狭いと車いすやベビーカーが通れず、困ってしまいます。一般的な車いすが通行できる幅は90cmですので、90cmより広めの幅で設計し、最低でも1か所は旋回ができるように180cmほどの広さがあると店内での移動がスムーズになります。
また、車いすやベビーカーで移動する可能性がある場合には、小さな段差でもなるべくない方が理想的です。
店内にもともと段差がある場合には、可能な限りスロープに変更し、難しい場合には、段差がある場所を照明で明るくするなど段差があることがわかるような対策を実施してください。
さらに、固定式の座席にしてしまうと、車いすの人や小さな子どもを連れたお客様が利用できない可能性もありますので、椅子は移動しやすいものを選び、車いすやベビーカーを置いても窮屈に感じないテーブルを選んでください。
また、子ども用の椅子などを用意しておくのも効果的です。
トイレ
トイレでのポイントは、衛生的で使いやすいこと、多機能トイレにすることです。
便器の自動洗浄や自動で水が流れる洗面台を設置することや高さの低い洗面台を作ったり、各所に手すりを設置したりすることでトイレの流し忘れや蛇口の閉め忘れを防ぐこともでき、衛生的で使いやすいトイレになります。
また、おむつ交換台があったり、車いすに乗ったまま入ることができる広さを確保したりすることで、たくさんのお客様が安心して利用することができます。
店舗内表示、メニュー
店舗内の表示やメニューでのポイントは、見ただけでわかりやすいことです。
ひと目見ただけで直感的に理解できるデザインとしては、視認しやすいフォント、大きめの文字、明度差のある見やすい配色、写真やイラストの多用などが挙げられます。
その他、多言語対応したり、男子トイレ、女子トイレのイラストなど世界的にある程度意味が統一されたピクトグラムの使用なども有効です。
まとめ
今回は、飲食店で導入できるバリアフリー、ユニバーサルデザインの適応について紹介してきました。ユニバーサルデザインを採用することは世界的にも進められている取り組みで、最近話題のSDGsの中でも取り入れられています。
これからの時代の流れに取り残されないためにもユニバーサルデザインを取り入れることを考えてみてください。
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