一歩進めば入れる料亭|立ち飲み屋【八事あさ乃】の店舗デザイン事例紹介
皆さんこんにちは。名古屋のデザイン事務所、サイファーの溝渕です。
今回は、私たちが手掛けた立ち飲み居酒屋が竣工いたしましたので、デザインをご紹介したいと思います。本案件は、名古屋市内の中でも指折りの富裕層エリアに、「立ち飲み居酒屋」を出店される案件になります。
通常、私たちが思い浮かべる立ち飲み居酒屋は、安価で、手軽で、サクッと寄れるイメージが強くありますが、オーナーがこのお店で実現したいことは、八事の周辺環境の特性に合わせた、選び抜いたお酒と選び抜いた素材で、手をかけた料理にこだわり、他とは違うおもてなしで振る舞う”和食料理屋”でした。
オーナーの理想を実現するために工夫したポイント、デザインに込めた想いを解説して参ります。
お店のコンセプト
今回のコンセプトは、一歩詰めれば、入れる料亭。
このコンセプトに込めた思いとしては、大衆感と高級感の2つの”感”を考えていくことで、立ち飲み居酒屋の持つ和気あいあいとした活気あふれるイメージを保持しながら、空間に品を与え、舌の肥えた大人たちが集まり、落ち着いた活気が生まれる場所を作り出していくことです。
看板にもこだわりがあります。看板の書体は、すべてオーナーが筆で書かれた字体をパソコンで加工して、サインを制作しています。さらにこちらの赤い四角にあの部分は、オーナーが自作されたハンコの押印をサンプルしたサインとなっております。
全体的に品と質を高めた和の雰囲気を目指し、木とナチュラルな色を選択し整えた店構えとなっています。
お店を斜めに走っていくカウンター
店舗の一番の特徴としては、店内入ってから奥に広がって斜めに走っていくカウンターです。カウンターはゴムの修正材のオイル塗装、上げ台の部分は、表面が本物の石材の化粧シートを貼っており、空間の質を高めるポイントとなっています。
また、間口に制限があるので、カウンターが斜めであることでなるべく奥へ誘い込みやすいような作りとなっています。
奥へ誘い込むと、このお店の1番にこだわった見どころあるの場所になります。曲面状に曲がって降りてくる天井の先に間接照明が仕込まれ、壁面の石材シートを照らし出します。
曲面天井と壁面の境界が曖昧になり、光が降りてくる表現方法を施しました。物理的に客席スペースが限られていますので、天井面にデザインのウエイトをおいて、空間の落ち着きや品を高める手法を選択しています。
厨房とお手洗い
厨房について、お客様のオペレーションを丁寧にヒアリングした計画としています。
特に本案件は、お湯を切る、といった動作が発生するとのことでしたので、厨房区画と防水塗装、湯切りの場所を確認して、予算を考慮しながら最低限支障のない計画としています。
また、厨房へのアクセスを行いやすいように隣接するすぐ隣にストックルームを設置しております。
他には、奥にトイレがありますが、少しのスペースもうまく活用できるように長物を保管できるようなちょっとした倉庫も計画をしています。
最大限のコストパフォーマンスを実現するた発注体制
今回のお施主様からの発注体制は、デザイン:サイファー、解体工事:ウラシコ、内装設備工事:ドゥジドゥさん、厨房機器:厨房機器会社さんと5社間で契約をしている体制になっています。
なぜ、このような形にしているかというと、主要工事の各社間の契約とすることで、通常かかるマージンを抑え、全体予算の削減を行い、最大限のコストパフォーマンスで良いお店づくりをするためで、この案件のこの契約体制の提案は、サイファーから行っております。
一般的に、一つのお店づくりで複数の工事会社と契約となると、手続きの煩雑さや窓口が多く、調整ごとも多くなるため、避けることがほとんどですが、サイファーのデザイン費用には、各社の調整と取りまとめの費用を含んでいます。サイファーにてスケジュールや各社間の調整を行っていますので、安心してお任せいただけると思います。
また、サイファーは自社で解体工を抱えている株式会社ウラシコ傘下の事務所ですので、解体工事にはかなりの費用のメリットがあります。今回は、解体の費用面では、他社と比べても70万円近く、解体工事費用を削減できています。
こういったコストコントロールの引き出しが多いことが、コンセプトデザインと合わせてサイファーの大きな強みの一つです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
オーナーの想いを実現するために、大衆感と高級感の2つの”感”を考えていくことで、立ち飲み居酒屋の持つ和気あいあいとした活気あふれるイメージを保持しながら、空間に品を与え、舌の肥えた大人たちが集まり、落ち着いた活気が生まれる場所ができました。
お仕事帰りにふらっと立ち寄っていただける”料亭”として、これからも地域の人達に愛されるお店になるでしょう。