2025年の建築基準法改正でなにが変わる?リフォームへの影響とは?

建築基準法改正

「2025年の建築基準法改正では何が変わるのだろう」「リフォームへの影響があるのだろうか」などの不安やお悩みはありませんか。

建築物を建てる際はもちろん、リフォームや建て替えをする際も、法で定められた基準に従って設計、施工を進めなければなりません。今後の住宅を建てたり、リフォームを考えたりする際には、この法改正の内容を正しく理解しておくことが重要です。

建築基準法とは何か、2025年の改正でどのようなポイントが変わるのか、そしてその改正がリフォームにどのような影響を与えるのかについて詳しく解説します。

建築基準法とは

建築基準法とは

建築基準法とは、1950年に制定された建物の設備や構造などに関する基準を定めた法律です。この法律は、新しく建物を建てる時だけでなく、改修や解体の際にも遵守する必要があります。

建築基準法の目的は、国民の命や健康、財産の保護、そして公共福祉を守ることです。地震や火災といった災害が発生した際に、被害を最小限に抑えるためのルールや規定が含まれています。

また、環境保護や国民の生活環境の向上を目指すための内容も盛り込まれています。このように、建築基準法は建物の安全性や快適性を確保するために非常に重要な役割を果たしています。

2025年建築基準法改正で変わる5つのポイント

2025年建築基準法改正

2025年の建築基準法改正では、主に5つの点が変わります。

1.4号特例

2.伝統的木造建築物等の構造計算適合性判定基準

3.構造計算が必要な木造建築の規模

4.木造建築物の壁量基準

5.省エネ基準の適合義務化の対象拡大

これらは新しい建物の建築だけでなく、リフォームにも直接影響を与える可能性があるため、しっかりと押さえておきましょう。

1.4号特例

4号特例とは、建築士が建物の設計を行う場合に構造関係規定等の審査が省略される制度です。今回、4号特例の見直しで変更されるのは、「建築確認・検査」と「審査省略制度」の対象範囲です。

改正前は、建築基準法第6条1項と4項に該当する「4号建築物」が、審査を省略されていました。しかし、改正後は4号建築物の区分方法が変更となり、一部対象外となります。

2階建て以上または、延べ面積200㎡以上の木像建築物は、新2号建築物に該当するため、建築確認・検査が必須です。平家建てかつ延べ面積200㎡以下の建築物であれば、新3号建築物へ分類され、旧4号建築物と同様の扱いになります。

2.伝統的木造建築物等の構造計算適合性判定基準

2025年の建築基準法改正によって、伝統的木造建築物の判定基準が変更となります。従来の規定では、階数が2以下かつ延べ面積300㎡以下、高さ16m以下の伝統的木造建築物は、構造計算を行い、安全性を確認する必要がありました。

しかし、建築基準法改正後は、構造設計一級建築士が建物の安全基準を確認することで、構造計算適合判定が不要になる場合があります。

また、構造計算適合判定資格者が建築確認を審査する場合も構造計算適合判定が不要です。これにより、伝統的な木造建築物の設計や建築がより柔軟に行えるようになります。

3.構造計算が必要な木造建築の規模

今回の建築法改正では、木造建築物の構造計算が必要な規模も変更されます。

現在は、高さ13m以下かつ軒高9m以下の建物が対象ですが、改正後は高さ16m以下に拡大されます。また、簡易構造計算が必要な延べ面積は、500㎡から300㎡に変更されるため、これまで構造計算が不要だった建物も新たに対象となります。

4.木造建築物の壁量基準

壁量基準とは、地震や強風などの災害に耐えたり、建物を支えたりと耐力のある建物にするために設けられた項目です。

現在の木造建築物は、使用する部品や部材、形の変化、太陽光発電の設置など、仕様が多様化しています。現在の壁量基準では適切な壁量が計算できないため、内容を見直すことになりました。

建築基準法改正後は新しい計算方法が導入され、簡易に必要な壁量を算出できる「早見表」や「表計算ツール」が整備されます。

5.省エネ基準の適合義務化の対象拡大

2025年4月からは、新築住宅、非住宅の全てに省エネ基準の適合が義務付けられます。

省エネ基準では、建物が使うエネルギーを減らすものであり、断熱性能やエネルギー消費量に関する基準を満たさなければなりません。ただし、以下の場合は対象外となります。

省エネ基準が対象外となるもの
・すでに建っている建物

・修繕する建物

・模様替えを行う建物

すでにある建物に増築する場合、増築部分のみ省エネ基準に適合させる必要があるため、注意が必要です。

2025年の建築基準法改正によるリフォームへの影響

建築基準法改正によるリフォームへの影響

2025年の建築基準法改正は、リフォームにも大きな影響を与えることが予想されます。以下では、具体的なリフォームへの影響について解説します。

建物の安全性向上

2025年の建築基準法改正では、建物の構造計算適合判定が厳格化されるため、リフォーム時にも耐震性や安全性の確認が必要です。

木造建築物の壁量基準が見直されることで、壁や柱の強度が強化され、安全性が向上します。特に地震や台風といった自然災害に対して、より強い建物を作ることが可能です。

さらに、構造計算が必要な建物の規模が拡大されるため、今まで対象外だった建物も含め、多くの建物の安全性が向上されます。リフォームを通じて建物全体の安全性を確保しやすくなります。

リフォーム期間の長期化

構造計算適合判定の厳格化や新基準に基づく確認手続きが増えることで、リフォームの手続きが複雑になり、全体の期間が延びる可能性があります。例えば、耐震性の確認や構造の審査が必要になるケースが増えるため、手続きに時間がかかることが予想されます。

また、建築確認や構造審査に時間がかかることで、リフォームの開始から完了までのスケジュールに影響を与え、特に大規模なリフォームでは計画の遅延が生じる可能性が高まります。

リフォームコストの増加

新しい建築基準に適合させるため、設計や施工に追加コストがかかる可能性があります。例えば、壁量基準に基づいて使用する建材や設備のグレードアップが必要になるため、材料費や施工費が増加することが考えられるのです。

また、省エネ基準への適合も求められるため、断熱材や省エネ設備を使用する必要があり、これもコスト増加の要因となります。特に高性能な断熱材や省エネ設備の導入は初期費用が高くなる傾向にあります。

さらに、構造計算や適合判定にかかる専門家の費用も増加する可能性があり、これがリフォーム全体のコスト増加へと繋がるのです。

リフォームができない可能性がある

改正後の基準に適合しない既存建物では、構造上の制約により希望するリフォームが難しくなる可能性があります。特に木造建築物の安全性や壁量基準を満たせない場合、リフォームの規模や内容が制限されるのです。

まとめ

建築基準法への対応

2025年の建築基準法改正は、建物の安全性や省エネ性能を向上させることを目的としたものであり、リフォームにも大きな影響を与えることが予想されます。

リフォームを計画している場合、今回の改正内容を正しく理解し、計画の見直しや費用の準備を進めることが重要です。安全性や省エネ性能の向上は長期的なメリットをもたらすため、リフォーム時にはこの改正を最大限活用して、より快適で安全な住まい作りを目指しましょう。

設計施工会社のサイファーでは、店舗デザインだけでなく住宅のリフォームに関するご相談も受け付けております。2025年の建築基準法改正後のリフォームを検討している方は、ぜひサイファーへご相談ください。