ドライキッチンとウェットキッチンはどっちが良い?それぞれの利便性と使い方を解説します

飲食店を開業する際や店舗改装をする際に、オーナーが悩むポイントの1つであるキッチンの種類。ドライキッチンとウェットキッチンどちらがいいのでしょうか。

どちらにもメリットやデメリットはありますが、選ぶ際に1番重視すべきことは飲食店の種類です。そこで、ドライキッチンとウェットキッチンのどちらが良いのかに合わせて、それぞれの利便性やメリット・デメリット、ウェットキッチンがおすすめの飲食店とは、工事費用などを解説します。

ドライキッチンとは?どんな利便性がある?

ドライキッチンとは、床面に水を流すことのできないキッチンです。基本的に床が乾いた状態であるため、厨房設備や床にサビ、雑菌が発生しにくいといった特徴があります。また、水によって足元が滑る心配がなく、安全性が高いという利点もあげられます。

水を流して掃除ができないドライキッチンは、床が汚れにくく、油汚れの少ないカフェやバーなどの小型店舗や軽食店に多いキッチンの種類です。

ウェットキッチンとは?どんな利便性がある?

ウェットキッチンとは、床面に防水工事を行ったキッチンです。防水加工がされているため、床に水を流すことができ、油汚れといった頑固な汚れも楽に落とすことができます。

また、ウェットキッチンの側溝には、生ゴミや油が直接流れないようにするグリーストラップが設置されており、環境にも十分配慮されています。水や洗剤を流しながら床掃除ができることから、油や火を頻繁に使う居酒屋や中華料理屋、ラーメン屋などから人気のキッチンです。

ウェットキッチンに防水工事が必要な理由とは

ウェットキッチンを設置する場合、防水工事は必要不可欠です。大量の水を使用するため、適切な防水処理がないと、設備や床材の腐食、カビや雑菌の発生、さらには漏水のリスクが高まります。

例えば、防水加工されていない床では、水が浸透し下階への水漏れを引き起こすこともあるでしょう。衛生状態を維持し、近隣店舗や住宅とのトラブルを回避するためにも、ウェットキッチンには防水工事が必要です。

ドライキッチンのメリット・デメリット

ドライキッチンのメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
・衛生的に良い

・費用を抑えられる

・工期が短い

・床がフラット

・安全性が高い

・乾燥維持が大変

・維持費がかかる

・水漏れの恐れがある

 

メリット

ドライキッチンのメリットは、大きく分けて5つです。

1.衛生的に良い

床面が乾燥していることによって、雑菌が繁殖しづらくなるため、飲食店に重要な清潔が保てます。また、水を使用する機会が少ないため、食器や設備、調理機器が錆びづらくもなります。

2.費用を抑えられる

ドライキッチンの床材は、一般的に樹脂でできた長尺シートと耐水塗料です。これらの費用は比較的安く、ウェットキッチンと比べて費用が抑えられます。

3.工期が短い

ドライキッチンは、防水工事が不要なため、短期間で施工を終わらせることが可能です。

4.安全性が高い

基本的に床に水を流すことがないため、足を滑らせて転ぶといった危険性がほとんどありません。

5.床がフラット

ドライキッチンは水を流すことがないため、水の流れをよくする勾配が不要です。そのため、フラットな床で歩きやすさを向上させられます。

デメリット

ドライキッチンのデメリットは、主に以下の3つです。

1.乾燥維持が大変

ドライキッチンは、水に濡れることを想定していないため、簡単な防水加工しかされていません。そのため、大量の水が溢れた場合は、しっかりと水を拭き取り、換気や乾燥機をかけ十分に床を乾かす必要があります。

2.維持費がかかる

ドライキッチンといっても、多少の水には対応できるよう耐水塗料が塗られます。しかし、この耐水塗料は5年程度で剥がれてしまうため、5年に一度塗り直しの施工費用が必要となります。

3.水漏れの恐れがある

ドライキッチンに使用される、水捌け効果のあるシートは災害によってヒビ割れが起こりやすいといった特徴があります。ヒビ割れをしてしまうと、そこから水漏れが発生する可能性が考えられます。

ウェットキッチンのメリット・デメリット

次に、ウェットキッチンのメリット・デメリットをご紹介します。

メリット デメリット
・掃除しやすい

・耐用年数が長い

・床が濡れてもOK

・工事費用が高い

・雑菌が繁殖しやすい

 

メリット

ウェットキッチンのメリットは、以下の3つです。

1.掃除しやすい

ウェットキッチンは、床に水を流せるため、頑固な油汚れも簡単に短時間で落とせます。

2.耐用年数が長い

ウェットキッチンの耐用年数は約10〜20年です。ドライキッチンと比べても倍以上も持つことから、維持費もあまりかからないことが分かります。

3.床が濡れてもOK

ウェットキッチンであれば、床が濡れても急いで拭き取る必要がありません。忙しい時でも、基本業務に集中して取り組めます。

デメリット

ウェットキッチンのデメリットは、以下の通りです。

1.工事費用が高い

ウェットキッチンは、水捌けを良くするために床に傾斜をつけたり、防水工事を行ったりします。防水工事の費用は1㎡あたり4,000円〜7,000円と決して安くはありません。

2.雑菌が繁殖しやすい

濡れた状態が続いてしまうと雑菌が繁殖しやすくなり、清潔を保つつもりが、逆に不清潔な状態になってしまいます。雑菌を発生させないためにも、こまめな掃除と掃除後の乾燥が大切です。

ウェットキッチンがおすすめの飲食店

ウェットキッチンは、水を流して掃除ができることから火や油を頻繁に使う飲食店に人気です。

・居酒屋

・中華料理店

・ラーメン屋

・ファーストフード店 など

 

これらの飲食店は、火や油を使う機会が多く、床が汚れやすい店舗です。日々の掃除を楽にし、厨房の清潔を保つためにもウェットキッチンがおすすめです。

ドライキッチンとウェットキッチンの費用と工期

ドライキッチンとウェットキッチンの費用と工期は、以下の通りです。

キッチンの種類 費用 工期
ドライキッチン 300〜600万円 3〜5日
ウェットキッチン 400〜700万円 1週間

 

ただし、厨房の広さや既存の設備、施工内容などによって費用や工期は異なります。上記で紹介した費用と工期は、あくまでも参考程度にしておきましょう。詳しく知りたいという場合は、設計施工会社へ相談をしてみるのがおすすめです。

ドライキッチンとウェットキッチンの掃除方法

ドライキッチンとウェットキッチンの掃除方法を簡単にご紹介します。

ドライキッチンの清掃方法

1.ほうきや掃除機でゴミを取る

2.モップや雑巾で拭き掃除をする

モップや雑巾掛けをする際、水に洗剤を混ぜることで、油汚れや頑固な汚れも綺麗に落とせます。ただし、洗剤が多すぎたり、拭き残しがあったりすると、足を滑らせ転倒する原因になるので注意をしましょう。

ウェットキッチンの清掃方法

1.ほうきや掃除機でゴミを取り除く

2.水と洗剤を撒き、ブラシで床を磨く

3.水で洗剤と汚れを流す

4.スクイジーで水切りをする

床が濡れた状態を放置すると、雑菌が繁殖し、カビやニオイの原因になってしまいます。清掃後は、必ず水切りを行いましょう。

まとめ

ドライキッチンとウェットキッチンは、どちらにもメリット・デメリットがあり、それぞれに適した飲食店があることをご紹介しました。床が汚れづらいカフェやバーなどの軽食店には、ドライキッチンが適しており、火や油をよく使う居酒屋や中華料理屋、ラーメン屋などにはウェットキッチンがおすすめです。

どちらがいいというのではなく、飲食店の種類や営業方法に適したものを選ぶことが大切です。もし、店舗デザインや店舗開業の費用に関するお悩みがある方は、ぜひサイファーへご相談ください。知識、経験、実績のある設計施工のプロが、丁寧にアドバイスさせていただきます。