電灯と電力の基本的な違いとは?店舗やオフィスなど事業者向けの電気契約における違いを解説します

電灯と電力の基本的な違い

私たちの生活に欠かせないライフラインですが、事業を行っている店舗やオフィスも同様です。

素人ではわかりにくい電気契約ですが、一般家庭と事業者向けとでは多少異なります。とくに、店舗やオフィスなどで契約される電灯と電力の違いもわかりにくいのが現状です。

事業者向けならではの電気契約について詳しく見ていきましょう。

電灯と電力(動力)の違い

電気契約は、大きくわけて電灯と電力(動力)とに分かれます。どちらも店舗やオフィスなどの事業者には欠かせない契約です。実際に電気契約をする際は、電灯と電力の違いについても知っておく必要があります。

電灯とは

電灯とは

電灯とは、一般的に使われている電気契約を指します。基本的には家庭向きの電気契約と考えていいでしょう。そのため、家庭向けの電化製品や照明は、電灯で契約するのが一般的です。電力会社の中には「従量電灯」と表示しているところもあります。

電灯は100Vまたは200Vまでの電化製品に対応しています。また、電気の供給方法としては、単相2線式か単相3線式です。

単相2線式と単相3線式の大きな違いは、契約できるアンペア数と思って間違いありません。単相2線式の場合は30Aまでの契約しかできませんが、単相3線式になると60Aまで契約可能です。

店舗やオフィスとして利用する物件は、単相3線式になっているのが一般的です。

電力(動力)とは

電力(動力)とは

電力(動力)とは、おもに事業所向けに使われる電気契約です。

店舗やオフィスなどは、一般家庭向けの電力ではまかなえない設備が多くあります。その場合は、より大きな電力を供給できる電力(動力)の契約が必要です。

例えば、以下の設備は電力(動力)によってまかなわれます。

  • 業務用エアコン
  • 業務用冷蔵庫
  • 業務用厨房機器

新しく店舗やオフィスを構える際は、電灯のほかに電力(動力)の契約も検討しなければいけません。電力(動力)は三相と呼ばれる電気の供給方法です。三相は電灯の単相式と比べ、少ない電流で200Vの電力を得られます。

また、電力(動力)に対応した設備は、コンセントの差込口も3つ穴もしくは4つ穴となっています。

事業者向けの電力(動力)にも2種類ある

事業者向けの電力

店舗やオフィスといった事業者向けの電力(動力)には、2種類あります。

電力(動力)の種類 特徴
低圧電力 ・契約容量が50kw未満

・商店や飲食店、事務所、一般家庭などが対象

・供給電圧は200Vまで

高圧電力 ・契約容量が50kw以上

・中小規模の施設(商業施設や工場、病院など)が対象

・供給電圧は6,000Vまで

・受変電設備が必要

 

小規模の店舗やオフィスの場合は、低圧電力の契約が一般的です。しかし、ビルや工場、商業施設などは契約容量が50kW以上必要になるため、高圧電力の契約をしなければいけません。

また、低圧電力と高圧電力の大きな違いは、電気の供給方法です。低圧電力の場合、電柱に設置されているトランス(柱上変圧器という電力会社の設備)から100Vもしくは200Vに変圧されて供給されます。

一方で高圧電力は6,000Vのそのまま受電します。しかし、6,000Vは高圧のためそのままの電力では施設で利用できません。そのため、受変電設備(キュービクル式など)を設置し、変圧して初めて利用が可能です。

店舗やオフィスなどの事業者向けの一般的な電気契約

店舗やオフィスなどの事業者向けの一般的な電気契約

実際に店舗やオフィスが契約する電気料金プランも見ておきましょう。

今回は、名古屋市で多くのシェアのある中部電力の料金プランを参考にしています。ほかの電気会社も似たような料金プランを用意しているため、ある程度参考になると思います。

料金プラン プラン内容 料金の特徴
おとくプラン ・契約電流が40A~60Aまたは契約容量が6kVAの電灯契約のお客さまが対象

・毎月102円の割引

・契約するアンペア数によって基本料金が異なる

・使用する電力量によって料金が3段階にわかれる

とくとくプラン ・契約容量が7kVA以上の電灯契約のお客さまが対象

・2年間の継続利用が加入条件

・毎月102円の割引

・基本料金は1kVAにつき297.00円の加算

・使用する電力量によって料金が3段階にわかれる

スマートライフプラン ・電灯契約のお客さまが対象

・時間帯により電気料金単価が異なり、夜間時間帯がお得

・夜間時間帯は3つのパターンから選択可能

・基本料金は契約容量10kVAまで1,597.04円

・使用する時間帯によって電力量料金が異なる

従量電灯 ・標準的な店舗や小規模な工場などに適した電灯契約

・従量電灯A、B、Cの3パターンがある

・契約するパターンによってアンペア数が異なる

・従量電灯Aの最低料金は266.06円

・従量電灯Bはアンペア数により297.00円~1,782.00円

・従量電灯Cは1kVAにつき297.00円

 

中部電力では、店舗やオフィスなど事業者向けとして提供している料金プランは、上記の4つです。

規模の小さい店舗やオフィス、あるいは家庭用の設備でまかなえるところであれば、おとくプランまたは従量電灯の契約で問題ありません。

しかし、業務用の設備を利用する場合は電力(動力)のプランも契約が必要です。上記の料金プランのうち、電力(動力)として契約できるものは、とくとくプランやスマートライフプラン、従量電灯Cが該当します。

電力(動力)の場合、契約容量を60A以内で収めることが難しいため、契約容量の大きい料金プランを選ぶのが一般的です。詳しくは各電力会社のHPでご確認ください。

電灯と電力の料金の違いについて

電灯と電力の料金の違いについて

電灯と電力では、料金の考え方も異なります。

多くの電力会社では、電灯の基本料金は安く抑えてあります。しかし、電気使用量は従量制のため、使ったら使った分だけ請求されてしまい、結果として電気料金が高くなる可能性もあるでしょう。

一方で電力(動力)は電灯とは反対の考え方です。基本料金は電灯に比べて高めに設定されている電力会社が多いですが、電気使用量の単価を安く抑えてあります。

そのため、トータルで見ると電力(動力)にしたほうが、電気料金を抑えられるかもしれません。

事業者向けの電気契約における注意点

事業者向けの電気契約における注意点

規模の大きさに関わらず、店舗やオフィスなどの事業者の場合は、電灯に契約は必須です。

しかし、電力(動力)の契約有無については、その限りではありません。利用する設備によっては電灯で十分補えるものもあります。

また、電力(動力)の契約をしたくないという場合は、電灯の契約でまかなえる設備に切り替えることを検討してみるのも一つの方法です。

上記で述べたように、電力(動力)の契約をしたからといって、必ずしも電気料金が高くなるというわけではありません。電気契約する際は、使用する設備とランニングコストを検討して契約してみるといいでしょう。

内装工事をする際は、電気工事士立会いの元、電気工事設備を行います。電気工事士はプロですので、電気契約について相談してみるのをおすすめします。

まとめ

店舗やオフィスなどの事業者

店舗やオフィスなどの事業者は、電気契約する際も電力(動力)が必要か確認しなければいけません。基本的には、内装工事を請け負っている事業者が適切な電気契約を把握しているため、相談してみるといいでしょう。

その際は、使用する設備にも注意しなければいけません。場合によっては、電灯契約でまかなえる設備もあるからです。基本的には、電灯と電力(動力)の2つが必要であると認識しておくと、電気契約の際にスムーズでしょう。

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