飲食店を自宅で開業するときの店舗デザインのポイント|開業に必要な資格や許認可、内装設備を解説します

家賃や建築費用を抑えられたり、低金利住宅ローンを利用できたりといった様々な理由から、自宅で飲食店を開業したいと考える方は多いのではないでしょうか。

飲食店の自宅開業で鍵を握っているのが、店舗デザインです。顧客が利用しやすく、おしゃれな内装にすることで、リピーターの獲得、新規顧客獲得へと繋がります。

飲食店を自宅で開業するときの店舗デザインのポイントを詳しく解説します。合わせて、飲食店開業に必要な資格や許認可、内装設備についても分かりやすくまとめました。飲食店開業を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。

デザインコンセプト作成の流れは以下のページで詳しく解説しています。実際にお客様に提案しているマインドマップや図表、イメージパースを元に、考え方の整理方法からコンセプトを具現化するまでを解説していますので、ぜひこちらもご参照ください。

デザインコンセプト作成の流れ

飲食店を自宅開業する際の店舗デザインのポイント5選

飲食店を自宅開業する際の店舗デザインのポイントは、顧客の居心地の良い空間でありながら従業員の使いやすさもあることです。ここでは、居心地が良く使いやすい店舗にするためのデザインを詳しくご紹介します。

大きめの窓を設置

店舗デザインに大きな窓を取り入れることで、自然光がしっかりと入り、明るく開放的な店内となります。また、店内の圧迫感をなくし広々とした空間を演出することも可能です。

このように開放的な店舗デザインにすることで、店内の雰囲気が良くなり、顧客はリラックスしながら会話や料理を存分に楽しめます。

また、大きな窓を設置することで、外からも店内の様子が見られるため、集客効果が得られるといったメリットもあります。

機能的かつコンパクトな厨房

自宅開業の場合、自宅の一部を店舗とするため利用できる面積が限られています。そのため、スペースを効率的に使わなければなりません。

コンパクトな厨房を取り入れることで、客席数を増やしたり、収納スペースを増やしたりできます。ただし、小さいだけの厨房では利用しづらく、作業効率が低下してしまう恐れがありますよね。

機能性にも配慮した厨房を導入することで、限られたスペースを最大限に活用でき、スムーズな調理とサービスが可能になります。

デットスペースの削減

厨房と同じように自宅兼飲食店の店舗では、スペースを最大限に活用するためにデッドスペースを最小限に抑えることが必要不可欠です。

デッドスペースの削減により、席数の増加や収納の拡充、面積が狭くても開放感のある空間となります。デットスペースを有効活用した収納方法には、以下のようなものがあります。

・パーティション兼収納棚

・壁面の見せる収納

・吊り天井棚

・壁掛け棚 など

限られたスペースでも機能的で魅力的な店舗デザインにすることで、顧客へ楽しく快適な空間を提供できます。

店舗用玄関とトイレの設置

住人の靴や傘など、生活感の出やすい玄関やトイレは、店舗と居住スペースで分けましょう。これらを分離することで、顧客も住人もお互いに気を使うことなく、快適で過ごしやすい環境となります。

また、店舗内にトイレがあることで、顧客をわざわざ自宅内に案内する必要もなくなり、プライバシーの確保もできます。

安全で快適な店舗にするためにも、飲食店を自宅で開業する際は必要な設備を居住スペースと店舗で分離することが重要です。

バリアフリーデザイン

店舗内での階段や段差の撤廃、通路の適切な幅、テーブルや椅子の高さへの配慮など、これらをバリアフリーデザインにすることで、幅広い顧客の利用が可能です。

バリアフリーとは、誰もが使いやすいデザインであり、年齢や性別、障害の有無に関係なく利用できる店舗は、多くの顧客に利用してもらい、顧客満足度の向上やリピーターの増加が期待できます。

バリアフリーデザインの例 ・スリープや手すりの導入

・通路付近へ物を置かない

・通路の幅を120cm以上にする など

 

開業に必要な資格や許認可

飲食店は、「店舗ができたから開業しよう」と思ってすぐに開業できるわけではありません。飲食店開業には、国が定める資格や許認可が必要です。

食品衛生責任者

食品衛生責任者とは、食品衛生の管理と向上、従業員への衛生管理に関する指導などを行う責任者です。飲食店の各店舗は1名の配置が義務付けられています。

食品衛生責任者は、都道府県知事などが主催する講習会または都道府県知事から認可された講習会を受講することで取得できます。ただし以下の資格を持っている場合は、申請のみで取得が可能です。

申請で取得できる者 ・調理師

・製菓衛生士

・栄養士

・食鳥処理衛生管理者 など

名古屋市で食品衛生責任者の講習を受講するには、事前に申し込みが必要です。申し込みは先着順となるため、開業予定日が決まっている場合は早めに申し込みをしましょう。

参考サイト:食品衛生責任者講習会の開催状況のお知らせページ

防火管理者

防火管理者とは、火災などによる被害を防止するために防火管理業務を適切に行う責任者のことをいいます。この資格を取得するには、以下のような要件を満たさなければなりません。

・防火管理業務を適切に行える地位である

・防火管理に必要な知識や技能を持っている

防火管理責任者の資格は、防火管理講習を受講することで取得できます。

以下の機関が講習を実施しているので、受講を希望する場合は各機関へ問い合わせたり、公式ホームページを確認したりしましょう。

・都道府県知事

・消防本部および消防署を置く市町村の消防長

・総務大臣登録講習機関

飲食店営業許可

保健所から飲食店営業許可を得ることで、飲食店として調理した料理や酒類の提供ができるようになります。

ただし、飲食店営業許可では酒類の提供が0時までです。0時以降も酒類の提供をする場合は、別途「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」の提出が必要となるので注意をしましょう。

飲食店営業許可の手続きには、様々な書類が必要になるため提出する自治体へ、事前確認をしておきましょう。

必要な書類には、以下のようなものがあります。

・施設の図面

・食品衛生管理者の証明書

・水質検査成績書 など

 

開業届

開業届は、飲食店の開業を税務署に報告するための書類です。飲食店を開業する場合、この開業届を国税庁に提出することが必要であり、事業をスタートさせたら1ヶ月以内に提出しなければなりません。

確定申告などにも影響するため、忘れる前に提出をしておきましょう。

飲食店開業に必要な内装設備・備品

飲食店開業をするには、様々な内装設備や備品が必要です。細かい設備や備品は忘れることもあるため、事前にリストの作成がおすすめです。一般的に必要な設備や備品は以下の通りです。

厨房で必要な設備

設備 調理台、シンク、冷蔵庫、冷凍庫、コンロ、ガスオーブン、食器棚 など
備品 調理器具、食器、おしぼり、ふきん、清掃用具、ゴミ箱 など

 

ホールで必要な設備

設備 冷暖房設備、防犯設備、音響設備、照明設備、トイレ、電話、テーブル・イス、看板、レジ、金庫 など
備品 箸、客席用調味料入れ、ペーパーナプキン、洗剤、除菌用品、会計用伝票、領収書、レジ、つり銭トレー、トイレットペーパー など

 

自宅で飲食店を開業できる条件

自宅での飲食店の開業は、自分の意思でできるわけではありません。行政や各自治体の条件やルールがあり、それらに従う必要があります。ここでは、自宅で飲食店を開業できる条件を分かりやすくまとめました。

用途地域であるか

暮らしやすさや地域の利便性などを守るために、地域ごとに建設できる建物の種類が決められており、それを用途地域といいます。

飲食店を開業する場合、自宅の位置が用途地域に含まれているかを事前確認しなければなりません。用途地域については、各自治体の役所窓口または各自治体が運営する公式サイトで確認ができます。

店舗改装をした後に、開業できないというトラブルが発生しないよう、事前に確認をしておきましょう。

施設基準を満たしているか

飲食店の店舗では、安全や衛生のために保健所が定めた施設基準を満たさなければなりません。基準に満たしていない店舗は、指導の対象や営業停止になることもあるため、注意をしましょう。

営業許可に必要な施設基準は以下のようなものがあります。

・住居と店舗が区別されている

・床及び床面から高さ1メートルの壁面は耐水性材である

・換気が適切にできる設備が整っている など

保全対象施設の範囲外

都道府県が指定した保全対象施設周辺では、学校や図書館、病院などが含まれ、その周辺での飲食店の開業が制限されます。

制限の対象となる距離は自治体ごとに異なるため、開業する地域の自治体へ確認が必要です。

この規制は、スナック、キャバクラ、バーだけでなく、カフェや喫茶店にも適用されることがあるため、それらを開業予定の方は注意をしましょう。不安な場合は、事前に自治体への確認や相談がおすすめです。

まとめ

飲食店を自宅で開業する時の店舗デザインのポイントに合わせて、開業に必要な資格や許認可、内装設備に関して解説しました。

自宅での飲食店開業を成功させるには、店舗デザインはもちろん、手続きなども正確に行わなければなりません。店舗デザインや手続きに関するお悩みがある方は、ぜひ店舗デザインの専門家であるサイファーへご相談ください。

サイファーのデザイン施工事例